Amon Duul Ⅱ(アモン・デュール2)|その美しさの正体は
1967年に活動を始めた“Amon Duul”が翌年68年に解体。
バンド解散の理由の多くによく聞かれる、方向性の違いが彼らにもやってきます。
短いこの活動期間から推察してもはじめから方向性は違っていたのかもしれません。
政治的・思想的なグループと、音楽活動集団のふたつに分かれた彼ら。
後者は
Amon Duul Ⅱ(アモン・デュール2)
と名乗り活動をはじめました。
何度かのメンバーチェンジを繰り返しながら活動を続ける彼ら。
クラウトロックを代表するバンドです。
Amon Duul Ⅱ(アモン・デュール2)初期アルバム4枚
Phallus Dei (’69)
音楽集団としてスタートした”Amon Duul2″の最初のアルバム。
現代音楽風とも呪術風とも言える混沌とした怪しげなサウンドで彼らの活動は幕を上げます。
以降の彼らの音楽性にもみられる中東系をイメージさせるような音。
表題曲「Phallus Dei」は、即興性とやはり混沌とした狂気とが一体。
これからのクラウトロックを代表するお手本のような大曲です。
元々ヒッピー・コミューンから活動を開始。
分裂こそしましたがどこか混沌が息づいている彼らの音楽性。
その国籍不明な音階。
サイケデリックで掴み所のない怪しさ。
攻撃性と美しさが同居するような混沌とした楽曲群。
初期クラウトロックの名盤と言われるにふさわしい名作。
Yeti (’70)
前作からさらにロック色を強め、同時に怪しい美しさも増したセカンド・アルバム。
即興性の強い楽曲もあれば、ロック色の強いハード・ロックっぽい曲もあり。
ヴァイオリンで攻めまくるプログレ・サウンド。
相変わらずの中東っぽい国籍不明のメロディ、混沌としてはいますが方向性は確率。
美しくもある彼らならではのクラウトロックが展開されています。
聴き覚えのある音楽性と無縁。
それがクラウトロックをクラウトロックたらしめているのだと思います。
「Pale Gallery」から「Yeti Talks to Yogi」と後半にかけての即興大作の連続は圧巻。
それだけでもこのアルバムを聴く価値があるとすら思えます。
Tanz Der Lemminge (’71)
前作と方向性、音楽性としては近い,これもまた大作、名盤です。
アシッド・フォーク的な怪しい曲に始まり、ロック的な即興演奏を含む組曲的な展開。
現代音楽的な即興演奏もあり、音楽集団としての力を遺憾なく発揮。
プログレバンドとしても、
「ピンク・フロイドやヴェルヴェット・アンダーグラウンドと比較しても劣らない、アイデア豊かなプログレッシブ・ポップ・バンド」
と評されています。
プログレッシブ・ロックの始まりから全盛期に向かう年代において他に類を見ない個別の音楽性を持っていた彼ら。
とにかくカッコいいとうことですね笑!
Carnival In Babylon (’72)
後半には前作までのような大曲も見られますが、全体的に各曲がまとまっている印象。
楽曲が急速にまとまってきた。
美しいそれぞれの曲は間違いなく彼ら独自の個性として確立。
「Hawknose Harlequin」から「Tatzelwurmlich」に見られる即興演奏。
今まで通りの混沌とした攻撃性もあります。
同時にまとまりのある、いい意味でコンパクトな演奏が目立ってきています。
混沌の解体から美しさの再生へ
彼らのサウンドに感じる美しさのようなものの正体。
ある種の弱さのようなものなのではないかと勝手に妄想しています。
メンバーチェンジをしながら何度かの解散をしながら息の長いバンドであることは確か。
確固たる独自性があり、リリースを重ねるごとにその独自性は強度を増していきます。
強さと反比例するかのように美しくなっていく音楽性。
独自性の持つ強さとは違う、形の整った楽曲群。脆く儚い美しさ。
(amazonさんでusedしかない!儚い!)