続「Cluster」|ブライアン・イーノとの邂逅
コンラッド・シュニッツラー、ハンス・ヨアヒム・レデリウス、ディーター・メビウスの3人で始まった“K“luster。
ほどなくして分裂し、レデリウス、メビウスの2人で“C“lusterとして新たな道を進みます。
その後NEW!のミヒャエル・ローターを迎えてのHarmoniaの活動を経て音楽性に深度を増した2人。
イギリスのブライアン・イーノとの共作の機会を得て更に進化していきます。
Sowiesoso (’76)
Clusterのライブを観に来ていたブライアン・イーノをステージに招き入れた事で、
このコンサートが3人のセッションになってしまったらしい。
そのことから親交を深めた彼等は共作を始める事になります。
その共作が始まっている段階で制作された本アルバム。
Harmoniaでの「Delux」でも感じられた壮大さと音の温かみ。
それが一曲目の「Sowisoso」でもみられます。
以前のClusterはもう少しポップで軽い印象(悪い意味ではない)がありました。
「Zum Wohl」や「In Ewigkeit」でもそれは感じられます。
シリアスだけど温かく、静謐だけど決して寂しくはない、彼等がイーノとの邂逅によって次のステージに進んだのは明らかです。
このアルバムはメンバー自身に、「Cluster史上最も重要なアルバム」と言わしめたアルバムです。
様々なミュージシャンとの出会いが2人にどれ程影響を与えてきたのかを表しているのではないでしょうか!?
Cluster & Eno (’77)
1977年にコニー・プランクのスタジオで3週間に渡るレコーディングをしました。
このアルバムと続編の「After The Heat」はその期間に録音されたようです。
前作の壮大さや静謐さが更に加速してアンビエントの大名盤になりました。
イーノはこの後アンビエント・ミュージック界の大巨匠として有名になっていくわけですが、
お互いの音楽への実験性や前衛性が呼応し合って、影響を与えていたのでしょう。
1978年のイーノの「Ambient 1」でそれはある種の結果として現れ、
この一連の共作が今後の現在に続く音楽へのひとつのターニング・ポイントだったのかもしれません。
「Mit Simaen」や「Fur Ruise」等、元々の電子音響やエレクトロニクスの持つ機械的な音と、
イーノのアンビエント・ミュージックの橋渡しをしているかのよう。
After The Heat (’78)
前作と同時期に録音された本作。
名義はEno-Moebius-Roedeliusです。
後半にはイーノのヴォーカルによる歌物も入っています。
同時期の録音なのでそこまで前作と大きな違いがあるわけではありません。
「Luftschloss」やレデリウスの代表曲になるらしい「The Shade」のようなピアノ、
後半の曲のヴォーカルによってメロディアスな楽曲があったりするのは前作と多少区別できる?
や、無理矢理です。笑。
ここでイーノとの共作を終え、次作からはまたレデリウスとメビウスの2人での製作が進められていきます。
Grosses Wasser (’79)
イーノとの共作を経てどういった変化をみせてくれるのか。
またイーノがいてこそあのような名作を生み出してこられたのか。
そのどちらも感じる事になる本作かと思います。
良くも悪くも2人に戻った、という感じ。
だいぶシンプルになったなー、という印象が強いです。
「Prothese」とかビートを感じせるのとかは、同時代に出始めたニュー・ウェイヴの影響もありそう。
シンプルに、というのはこの次のアルバム、「Curiosum」で顕著にみられて、昇華されていくように思えます。
この時点でのシンプルは前作まであった楽曲の持つ壮大さや静謐さから、
シンプルに回帰してきているのかな、という感じです。
意味性という饒舌さから、音響やノイズといった元来の寡黙な音像へ。
という勝手な妄想も付け加えます。笑。
Curiosum (’80)
このアルバムがレデリウスとメビウスによる第一期Clusterの最終作となります。
前作にみられた傾向の、意味性の減少を更に進めてより抽象的に、
音として在る為の音といったシンプル・ザ・シンプルなアルバムです。
ある種の達観すら感じますね。。。
イーノとClusterとの邂逅がイーノ側にどう作用したのか。
イーノがアンビエントな方向へとシフトして突き詰めていっているのに対して、
2人はよりシンプルな音像を表現しているように思えます。
ソロ作へと続いていく「Cluster」達
お互いにソロとしてこの後にも多くの作品を生み出していきます。
Clusterの2人に関して言えば、シュニッツラーから始まり数多くのミュージシャンとの交流は、
同時代それから現在に至っても大きな影響を与えた好例ではないでしょうか。
クラウトロックから現在に至る音楽に多大なる影響を及ぼしているバンドの数々。
また機をみて好きな音楽を好き勝手に書きたいと思います!
また、年代的な部分や、知識的な部分は、ele-king booksさんの「クラウトロック大全」
Wikipediaにお世話になっております。
お世話様でした!